フィルターバブルって何?まずは、事例を知る
フィルターバブルって、なんですか?
フィルターバブルのメカニズム
フィルターバブルの危険性、若者が危ないってホント?
自分に何が見えていない?情報の偏り(かたより)をチェック
インターネット上で、なんとなくいつも同じような話題や意見にばかり見ていませんか?これは「フィルターバブル」と呼ばれる現象で、あなたが普段どんなサイトを見て、どんなものに興味を持っているのかをインターネットの裏でロボットが「あなたがこれを好きだろう」と予測して、関連する情報ばかりをあなたに見せているからなのです。
フィルターバブルは、英語で filter bubble と書きます。これを直訳すると「フィルターの泡」という意味になりますが、ここでの「フィルター」とは、インターネット上で自分の見たい情報だけを選別する仕組みのことを指しています。
たとえて言うならコーヒーをいれる時に不要な粉を除去するフィルターのように、ウェブ上の膨大な情報からあなたが関心を持つと思われる内容だけをあなたに届けるのです。
そして、それ以外の情報はロボットがあなたには興味がないことだから見せてもしょうがないよネ。と判断し、その他の情報を排除してしまうのです。
そしてあなたはその「泡」の包まれるように、自分が関心を持つ情報に囲まれて、他の多様な情報から隔離された状態をフィルターバブルと呼びます。
イメージとしては、あなた自身が小さな泡の中にいて、その泡が外の世界から遮断してくれる安全な空間のようなもの。その中では、快適かもしれませんが、泡の外にある豊かな情報は見えなくなってしまうのです。
つまり、フィルターバブルはある意味で快適な現象ですが、それによって私たちは多様な意見や異なる視点に触れることが少なくなり、自分の既存の信念や好みを強化するような情報ばかりを受け取ることになってしまいます。そして、それが知らず知らずのうちに私たちの世界観を狭めてしまうのです。
フィルターバブルのメカニズム
フィルターバブルの意味が理解できましたか?それでは、もう少しフィルターバブルについて、深堀していきましょう。
フィルターバブルは、あなた専用の「超有能なデジタル秘書」のようなものです。この秘書はあなたが過去にどんなウェブサイトを訪れたか、どんな商品をクリックしたか、どんな記事に時間を割いたかをすべて記憶しています。そして、そのデータを使って「あなたの好みを知っている」と自負し、次にあなたがオンラインにアクセスする時には、その情報をもとにフィルターをかけた世界を提供するのです。
フィルターバブルは、優秀なデジタル秘書のようなんだね。どんなことを手伝ってくれるのかな?
それでは、そのデジタル秘書がどのように働くか?フィルターバブルの例を見てみましょう。
想像してみてください。あなたはオンラインで新しいランニングシューズを探し始めました。いくつかのサイトをチェックし、気になるモデルのレビューを読み、最終的には購入するかどうかを決めるために価格を比較しています。これらの行動があなたのデジタル秘書のメモに残ります。
次に、あなたがニュースサイトを訪れると、ページの隅にはランニングシューズの広告がチラリ。それからYouTubeで音楽を聴き始めたら、動画の前に流れる広告もまた、あなたが見ていたあのシューズと同じブランドの広告が流れてきました。こんな経験したことありませんか?これがフィルターバブルの例です。
まるでインターネットの裏側に、あなたの行動を覚えているあなた専用の秘書がいるみたいですね。
あなたが見たいと思っていると判断したものだけを前面に押し出すことで、あなたは新しい情報や異なる視点に触れる機会が自然と少なくなってしまいます。それは、自分の興味のある世界の中で生きているようなもの。もしかしたらあなたにとって、その状態は、とても心地良いかもしれません。しかし、同時に新しい発見が少なくなり、思考の多様性が失われるリスクもあるということなのです。
フィルターバブルが作り出す世界は、一見すると自分の好みにぴったり合っているように思えますが、それはあくまでも過去のあなたに基づいたもの。新しいあなた、成長するあなたは、まだ見ぬ情報や、まだ試していない選択肢を必要としているかもしれません。それを忘れないでください。
フィルターバブルの危険性、若者が危ないってホント?
フィルターバブルは、特に若い人たちにとっては危険だといわれています。その理由は、インターネットがすごく普通のものとして生活に溶け込んでいるからです。それで、毎日どんな風に情報を手に入れているかが、フィルターバブルにどれだけ影響されているかに直結しているのです。
では、この「フィルターバブルが若者にとってどう危ないのか」を、もっとわかりやすく説明してみましょう。
インターネットが生活の一部としてある若者たちは、情報を受け取るときの「フィルター」がものすごく細かくなっています。これは、おもに好みや関心に基づいています。このどこが問題なのかと言うと、同じような情報や意見ばかりが目に入るようになるんですね。これが「フィルターバブル」です。
フィルターバブルは、まるで自分だけの小さな世界を作るようなもの。そこでは自分が興味を持つものだけが反響して、ほかの重要な意見や情報が聞こえにくくなります。これによって、世界の多様性や違う視点を見失いやすくなってしまうのです。
危険なのは、このバブルの中で、自分と違う考え方に触れる機会が減ってしまうこと。それによって、社会に出たときに多様な人々と上手くコミュニケーションを取る能力に影響が出かねないんです。だから、フィルターバブルの中に閉じこもらず、いろいろな情報に意識的に触れておくことが大切なのです。
下記をご覧ください。あなたにも思い当たるところがあったら「フィルターバブル」の中にいるかもしれません。
- 多くの方がSNSを使っている: 友達とのチャットや、流行りの写真を見るために、FacebookやInstagramみたいなSNSをよく使いますよね。これらのSNSは、あなたが何に興味があるのか、よく見るのかを覚えて、それに合わせた話題や広告を見せます。だから、いつも同じような情報ばかりが目に入るんです。
- 好きなものだけ見たい: 誰もが、自分の好きなことや興味があることについての情報を見るのが好きですよね。これって、あたりまえのことだと思うのですが、もし自分が興味のある情報ばかりを追いかけてしまうと、ほかの違う話題には目を向けにくくなってしまうと思いませんか。
- 技術は使えるけど、情報の見極めはまだまだ: 若い方は直感的にスマホやコンピューターを上手に使えるけれど、その情報が本当かどうか、ちゃんと判断するのはまだ苦手かもしれません。だから、一方的な情報に流されやすいんです。もし、その情報がフェイク(誰かにつくられたウソの情報)だったら、危険ですよね。
- 自分に都合のいい情報だけ信じがち: 自分が正しいと思っていることや、信じたいことを裏付ける情報には敏感ですが、それに反対する情報はつい見過ごしがちです。特に若い人は自分探しをしているときが多いので、自分の考えを正しいと信じ込みたくなるような情報を無意識に選びがちです。もちろん正しいこともありますが、他の人の意見や考え方を学ぶことも大事なことなのです。
- 新しい技術にすぐ飛びつく: インターネットやスマホの新機能が出ると、すぐに使い始める人はいませんか。新しい技術になればなるほど、情報はあなた好みの情報ばかりが届くようになります。最新のAIは、あなたの好きな情報ばかりを選んでをどんどん見せてくれるから、ますますフィルターバブルの中で生活することが多くなっていくのです。
これらのことから、若者はフィルターバブルに入り込みやすいと言えるのです。もちろん、これは若い人だけの問題ではなくて、どの年代の人も気をつけないといけないことです。
なるほど、幼いころからネット環境が整った中で、生まれ育ってきたから影響を受けやすいんだね。良い面もあるし、ある意味、危険な面もあるんだね。
自分に何が見えていない?情報の偏り(かたより)をチェック
自分の情報の偏りを知るためには、普段とは違う種類の記事や、普段見ないニュースから情報を得るようにしてみましょう。友達と話すときも、いつもとは違う話題について話をしてみると、新しい発見があるかもしれません。いつものパターンを変えてみることで、新しい世界が見えてくるはずです。
フィルターバブルは、どこに隠れている?
新しい情報に触れることも忘れずに
あなたの検索履歴が語ること
広告が教える、あなたの好み
ニュースフィードの裏側を探る
新しい情報に触れることも忘れずに
私たちは日々、SNSを通じて世界を見ています。しかし、そのレンズは実はとても狭いものかもしれません。FacebookやInstagramのようなプラットフォームは、私たちの過去の「いいね!」や共有、フォローしているアカウントに基づいて、見せる情報を選んでいます。これは、私たちの視野を無意識のうちに狭めるフィルターバブルを生み出します。実例として、ある政治的立場を持つグループに属していると、その立場を補強する情報ばかりが目に付くようになります。その結果、私たちは反対の意見にほとんど触れることがなくなり、偏った世界観を持ちやすくなるのです。
あなたの検索履歴が語ること
Google検索が私たちの好みに合わせた結果を提供することは、便利さの一方で思考の多様性を損ねていいるともいえます。たとえば、温暖化に関する検索履歴がある人には、環境に関連する記事や広告が多く表示されますが、それに批判的な内容はあまり目にしなくなってしまいます。このようなフィルターバブルは、世界の総合的な理解を妨げ、極端な意見の偏りを生む実害もありえます。
広告が教える、あなたの好み
オンラインでの私たちの行動は、ターゲット広告によって見える化されています。購入履歴や閲覧サイトに基づいて、私たちが興味を持ちそうな商品の広告ばかりが表示されるのです。しかし、これがフィルターバブルを形成し、消費の多様性を奪う可能性もあります。たとえば、ある種類の書籍を購入した人には、同じジャンルの書籍ばかりが推薦され、違うジャンルや新たなジャンルと出会うチャンスが減少してしまいます。
ニュースフィードの裏側を探る
ネットでニュースを見る時、なんで同じような話題ばかり目にするかというと、コンピューターのプログラム(アルゴリズムっていうんだけど)が、「この人はこういうのが好きだろう」と勝手に決めて、ニュースを選んでくれているからなんです。
たとえば、あなたがいつもクリックする新聞の記事だけがずっと流れてくると、他の新聞や情報源が言っていることには目が行きにくくなりますよね。これが実はちょっと問題で、みんなが色んな話題や意見に触れられなくなると、人々の間の意見の食い違いが大きくなったり、みんなが一緒に考えるべき大事なことを見逃したりしてしまう可能性があるんです。
フィルターバブルの中から、抜け出す方法も知っておいた方がいいよね
「フィルターバブル」自分の小さな世界から抜け出る方法があるんです。それは、いつもと違うニュースサイトをわざと見てみたり、ネットでのプライバシー設定(好みを訪ねられたら、わざと変えてみるなど)をチェックしてみることもひとつの手です。
そして、色々な考え方にオープンでいることが大切。そうすることで、世界をもっと広く深く理解できるようになります。
私たちがインターネットで情報を得るときには、「これを選ぶのはなぜ?」って自分に問いかける癖をつけるといいです。
そうすれば、フィルターバブルにとらわれずに、いろいろな角度から物事を見ることができるようになります。
フィルターバブルとエコーチェンバーの対策は?
エコーチェンバーとは?
フィルターバブルとエコーチェンバーは似ているけど、実は違う!
フィルターバブルとエコーチェンバーの対策は?
偏った情報で「加害者」や「被害者」になってしまった事例
まとめ:フィルターバブルとエコーチェンバーの実例から学ぶこと
エコーチェンバーとは?
エコーチェンバーは、まるで山や大きな建物の中で自分の声が反響して聞こえることから名付けられました。この現象は、自分と同じ意見や好みを持つ人たちとだけ情報を共有し、交流することによって起こります。
たとえば、あなたが特定の音楽バンドが大好きだとしましょう。そして、そのバンドのファンだけが集まるオンラインのフォーラムやFacebookグループに参加しています。そのグループではメンバー同士でそのバンドの素晴らしさについて話し合い、新曲のリリース情報を共有したり、コンサートの感想を言い合ったりしています。このグループの中では、そのバンドに対する否定的な意見はほとんど出てこず、みんなでそのバンドを称賛する声が反響し合っています。
この状態が「エコーチェンバー」です。グループのメンバーは、同じような意見や情報に囲まれるため、自分たちの好きなバンドが世界で最も素晴らしいという考えが強化されます。一方で、そのバンドの音楽が好きでない人たちの意見や、批判的なレビューはこのグループには届かないので、グループのメンバーは他の視点に触れる機会が少なくなります。
このように、エコーチェンバーにいると、自分と同じ意見の人ばかりと交流することになるため、新しい視点や異なる考え方に気づきにくくなります。そして、そのグループの中の考えが唯一の「真実」であるかのように錯覚してしまいがちです。だから、自分の視野を広げるためには、さまざまな人々と交流し、多様な意見に耳を傾けることが重要なのです。
フィルターバブルとエコーチェンバーは似ているけど、実は違う!
フィルターバブルとエコーチェンバーは、両方とも私たちがどのように情報に触れるかに影響を与える概念ですが、それぞれ少し違う仕組みを持っています。
まず「フィルターバブル」を考えてみましょう。これはインターネットが私たちの過去の行動や好みに基づいて、私たちが見る情報を「フィルター」するというものです。つまり、オンラインで靴を探していたら、その後ずっと靴の広告が表示されるようになる、というのが一例です。これは検索エンジンやソーシャルメディアが自動的に行っていることで、私たちが意識して選んだわけではありません。
一方で、「エコーチェンバー」は、私たちが自分と同じ意見や信念を持つ人々と情報を共有し、交流することで形成されます。例えば、ある政治的な意見に強く賛成する人が、その意見を共有する人々だけのグループに参加すると、異なる意見にはほとんど触れず、自分の考えが正しいという信念が強化されます。エコーチェンバーは私たち自身の選択によって作られることが多いです。
フィルターバブルは「行動を分析されてアルゴリズムが選んでくれるあなた好みの情報の世界」であり、エコーチェンバーは「自分で選んだ人々との意見とだけ共鳴する世界」です。フィルターバブルは技術によって作られ、エコーチェンバーは私たちの社会的な交流によって作られます。似ているようですが、その中身は違います。でも、どちらも私たちが多様な情報や意見に触れる機会を狭めてしまう危険性があると言えるでしょう。
フィルターバブルとエコーチェンバーの対策は?
フィルターバブルとエコーチェンバーから抜け出すための対策には、いくつかの方法があります。以下にそれぞれの対策をわかりやすく説明します。
フィルターバブルの対策:
- 検索エンジンを変える: いつもと違う検索エンジンを使ってみると、違う結果が表示されるかもしれません。たとえば、Googleの代わりにDuckDuckGoを使うなどです。
- プライベートモードで検索する: ブラウザのプライベートモード(インコグニートモードなど)を使うと、過去の検索履歴が影響しないため、より中立的な検索結果を得られることがあります。
- パーソナライズ機能をオフにする: ソーシャルメディアやニュースサイトの設定で、パーソナライズを減らすかオフにするオプションがある場合、それを利用します。
- 様々な情報源を探る: 異なる視点や意見を持つメディアやブログを意識的に読むようにすることで、視野を広げることができます。
エコーチェンバーの対策:
- 多様な意見に触れる: 自分の意見とは異なる視点を持つ記事や動画に意識的に触れてみます。
- 議論をする: 異なる意見の人と話をすることで、自分の考えを見直すきっかけになります。
- 情報の源をチェックする: 情報がどこから来ているのか、その情報源が信頼できるものなのかを考えます。
- 自己反省をする: 自分の信じていることに対して、なぜそう信じているのか、それが事実に基づいているのかを自問自答します。
偏った情報で「加害者」や「被害者」になってしまった事例
例えば、2018年に発生したあるデマが原因で、インドで群衆が何人もの無実の人々を殺害した事件があります。これはWhatsAppによって広まった偽の子供誘拐の噂に端を発しており、フィルターバブルとエコーチェンバーの危険性を如実に示しています。
情報元:児童誘拐のデマ信じ2人をリンチ殺人、15人逮捕 インド 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
フィルターバブルとエコーチェンバーによる影響は、おおきな社会問題に発展することもあるよ
- アメリカ大統領選挙の誤情報拡散: 2016年にアメリカで行われた大統領選では、ソーシャルメディアが誤情報やプロパガンダの温床となりました。多くのユーザーが同じ思想や信念を持つグループ内で情報を共有し、自分たちの信じる情報に囲まれることで、他の見解や事実が見過ごされ、誤った選挙認識を生み出しました。
- スラウェシ島地震の誤情報問題: 2018年にインドネシアで発生したスラウェシ島の地震の際、インターネットには地震の原因や被害規模についての間違った情報が溢れました。フィルターバブルがこれらの不正確な情報を一部の集団の間で広め、救援活動への誤解や支援の遅れに繋がりました。
- 新型コロナウイルスの偽情報: 2020年の新型コロナウイルス感染症の流行中、インターネット上にはウイルスの起源や治療法に関する誤った情報が拡散されました。これらはフィルターバブルやエコーチェンバーを通じて広がり、ワクチンの効果に疑問を投げかけたり、予防策を無視する動きを生むなど、公衆衛生上の混乱や医療従事者に対する偏見の原因となりました。
これらの事例から分かるように、フィルターバブルやエコーチェンバーは公共の安全や正しい情報の伝播に重大な障害となることがあり、私たち一人一人が情報リテラシーを高め、様々な情報源に目を向けることが重要です。
参考:総務省のフィルターバブルとエコーチェンバーについての記事
フィルターバブルとエコーチェンバーによる影響は世界中で日常的に発生しています。偏見を強化し、極端な意見を正当化することで、社会的な分断が深まり、集団間の対立が激化します。これらの情報の歪みが引き起こす実害は、時には生命をも脅かすことになります。
まとめ:フィルターバブルとエコーチェンバーの事例から学ぶこと
ポイントをまとめてみました
- フィルターバブルとはユーザーの興味・好みに基づいて情報がフィルタリングされる現象
- エコーチェンバーは同じ意見の人々が集まり、それ以外の情報に触れない状態
- 2016年アメリカ大統領選でソーシャルメディア上の誤情報が選挙認識を歪めた
- スラウェシ島地震ではネットの誤情報が救援活動の誤解や支援遅れを招いた
- 新型コロナウイルスに関する偽情報がワクチン不信や公衆衛生の混乱を生んだ
- フィルターバブルは自分に合った情報だけを見せ、他の視点を隠す
- エコーチェンバーは自分の意見を強化し、対立意見を排除する傾向がある
- 誤情報は公共の安全や適切な情報伝達に悪影響を与える
- 情報リテラシーを高めることはフィルターバブルやエコーチェンバーを超えるのに必要
- 異なる情報源へのアクセスを意識することで情報のバランスをとることができる
- 批判的思考を持ち、一つの情報源に依存しないことが重要
- 信頼できる情報源から多角的に情報を得る習慣をつけることが必要